Yoko Hara Exhibition
2005年4月 2日(土) - 4月24日(日)
■ DMテキスト
昔、石版工が出てくる小説を読んだことがある。
主人公である彼は職人気質でいつも自分の両手の中で人生を考えている。
自分の掌より外側を見ることはない。
ただ一度、自分に対する卑屈な自信から犯罪を犯すはめになり、陰惨に破綻していく。
容疑者となった彼を追いつめたのは被害者が持っていた石版石であった、というところがその話の主なプロットであった。
消去したはずの石版石の欠片に彼の手になるイメージが製版されており、そこから足がつくというのである。
つい最近になってその小説を読みかえした。偶然にも私は現在版画をつくっている。
消去しても残りつづけるイメージ、昔読んだ本のおぼろげな記憶。
消しても残りつづけたものが彼の「痕跡」となったように、それらの断片があいまいな形を画面に残していく。
そんなものが私の「かたち」になっているのかもしれない。
<原陽子>
■ 原陽子プロフィール
1969 埼玉県生まれ
1996 武蔵野美術大学大学院修了
2002-’03 文化庁国内研修員
2006-’07 文化庁新進芸術家海外留学研修員 アイルランドに滞在
1996年から個展を中心に絵画、版画作品を国内外で発表
〔作品収蔵
〕
町田市立版画美術館
ティコティン日本美術館(イスラエル)
クリーブランド州立美術館(アメリカ)
武蔵野美術大学美術資料図書館
アイルランド国立美術館
Graphic studio Dublin
現在/東京造形大学非常勤講師
■ Opening
4月2日(土)作家在廊