安元亮祐 展 – 密の月はふくろうの森陰に –

Ryousuke Yasumoto Exhibition

1997年10月25日(土) - 11月16日(日)

■ テキスト
「もし、アーティスト安元亮祐に出会わなかったら、画廊をつくっていなかったかもしれない。」<香月人美>そんな思いを再び呼び起こすようなEXHIBITION。
 
アクリルで描かれた彼の作品は、一見すると陶板のような重厚な雰囲気が漂う。その作品は立体を帯び、陶器のように火を通した温もりをも感じさせるから。
そして描かれた風景や人々は、ちょうどこれから訪れる季節、冬を思わせる、少しもの哀しさを持ちつつも、まるでクリスマスのような、オルゴールのメロディのような寓話的世界を感じさせる。
 
幼い頃、聴覚を失った彼は、音のない世界に住んでいる。だが、その描く絵は不思議なリズムを奏で、私たちの耳に響いてくる。

グレ-ト-ンの世界は、見たことのない風景なのに、なぜかしらなつかしい記憶が呼び覚まされる。静寂で、しんとしながらも、どこかしら温かい不思議な魅力をたたえた世界だ。
ガラス絵、陶オブジェを含め約40点を展示。

■ 安元亮祐プロフィール
1954年、兵庫県 姫路市生まれ。
1972年に東京教育大(現、筑波大)付属聾(ろう)学校美術 専攻科入学

幼い頃、高熱が原因で聴覚を失う。
小学校の頃から絵に熱中、画家になろうと決意する。
学生時代から独特の色彩感覚など日本人離れした感性が際立っており、頭角を現わす。

1988年(34歳)には安田火災美術財団奨励賞受賞。1989年セントラル美術館油絵大賞展・佳作賞受賞。具象絵画や彫刻の新人登竜門といわれる第27回昭和会展(日動画廊主催)では昭和会賞を受賞し一躍注目を集める。

特徴的な画風にはマリオネットのピエロ,フルートやトランペットを奏でるジプシーたちが月明かりの下でいつも踊っている。鉛色したブルーグレイの空、人魚の棲む浜辺、枯れかけた花、降り注ぐビーズの雨は見知らぬ街を濡らし、記憶の断片を紡ぐ。窓からこちらの様子を伺う見知らぬ月の住人、刻印された街。そんな幻想的な世界は多くの人々を惹きつけ、魅了してきた。

■ Opening
10月25日(土)5:00pm~ 「安元亮祐を囲んで」