安元亮祐 展 – 春の嵐の夜の手品師 –

Ryosuke Yasumoto Exhibition

1996年3月 2日(土) - 3月31日(日)

■ DMテキスト
明日は全てがかわるもの
あなたが夢見た全てのものが…..。
いつかは誰もが全ての種明かし…..。
そよ風を受けようと両手を広げる人。
お互いが話しかけているようなふたりの会話。
風にのって流れていく奇妙な文字。
なびいた髪。

■ 安元亮祐プロフィール
1954年、兵庫県 姫路市生まれ。
1972年に東京教育大(現、筑波大)付属聾(ろう)学校美術 専攻科入学

幼い頃、高熱が原因で聴覚を失う。
小学校の頃から絵に熱中、画家になろうと決意する。
学生時代から独特の色彩感覚など日本人離れした感性が際立っており、頭角を現わす。

1988年(34歳)には安田火災美術財団奨励賞受賞。1989年セントラル美術館油絵大賞展・佳作賞受賞。具象絵画や彫刻の新人登竜門といわれる第27回昭和会展(日動画廊主催)では昭和会賞を受賞し一躍注目を集める。

特徴的な画風にはマリオネットのピエロ,フルートやトランペットを奏でるジプシーたちが月明かりの下でいつも踊っている。鉛色したブルーグレイの空、人魚の棲む浜辺、枯れかけた花、降り注ぐビーズの雨は見知らぬ街を濡らし、記憶の断片を紡ぐ。窓からこちらの様子を伺う見知らぬ月の住人、刻印された街。そんな幻想的な世界は多くの人々を惹きつけ、魅了してきた。
 
■ レビュー
作家安元亮祐の描く世界には、そんな流れを感じることができた。
ふだん私たちが聴いている音は、まったく彼には届かないのだ。
しかし、彼の絵は、そんなことを感じさせないほど何かが流れている。
それは何?
音。
耳が聞こえている私たちにとって、CDの音楽や車の走る音は、まるで目で見ているかのように。
くっきりと感じる。
それが当たり前でもある。
しかし、音は、視角とはかかわらない。
音は空気を伝わってやってくる。
私たちがリアルな音を感じるのは、その空気の流れも同時に感じているからかも知れない。
きっと彼にも、音をのせた空気の揺らめきが届いているはずなのだ。
でないと、絵の中に流れる空気とリズムが私たちと全く同じ、なんて信じられないでしょう。

■ Opening
3月31日(土)6:00~ 「安元亮祐を囲んで」