小林健二 展 – TINY NIGHT –

Kenji Kobayashi Exhibition

2002年11月22日(金) - 12月15日(日)

■ DMテキスト
ひとつの作品との出逢いが自分の想いや望みに気付くきっかけになることがあります。
それは、何かを探し求め、自分とは何かを問い続けていく手懸りとなるでしょう。
見つめようとすることで見ることのできる世界がある。伝えようとすることで生まれる意思の疎通がある。
互いに共有しあえる希望をもち、交歓し合える場を創りたいと願い、小林健二展を開催する運びとなりました。
今回は新作の小品を中心に、旧作もまじえ発表いたします。
彼から手渡された小さな夜が、永遠にあなたを優しく包んでくれますように。
私たちの探している「何か」は、そう遠くにあるわけではないと信じています。

■ 小林 健二プロフィール
1957 東京新橋に生まれる

2013 Witches’ Relics-魔女たちの遺品,Gallery MORYTA/Fukuoka
2011 May & June,Gallery MORYTA/Fukuoka
2010 K’s WORKSHOP,Gallery MORYTA/Fukuoka
2010 TWILIGHT PLANET,Gallery MORYTA/Fukuoka
2010 15 to 32,Gallery MORYTA/Fukuoka
2009 PERSPY-ガラス体の日常,Gallery MORYTA/Fukuoka
2009 ELECTRIC WORLD,Gallery MORYTA/Fukuoka
2009 春の虹色-Printemps Iris,Gallery MORYTA/Fukuoka
2008 青繭の日記、Gallery MORYTA/Fukuoka
2008 Tools and Mind、Gallery MORYTA/Fukuoka
2008 CRYSTAL ELEMENTS、Gallery MORYTA/Fukuoka
2007 A Place of Fairy-妖精の場所、Gallery MORYTA/Fukuoka
2006 A story of Silence- 静寂の軌跡、Gallery MORYTA/Fukuoka
2005 銀色のことば-silver words,Gallery KAZUKI/Fukuoka
2005 夢記(ゆめのしるし) 自作レンズによる写真展,Gallery KAZUKI/Fukuoka
2004 薄荷の学説-The Mint Theory,Gallery KAZUKI/Fukuoka
2003 ひかりさえ眠る夜に-ON A NIGHT WHEN EVEN LIGHT HERSELF SLEPT,福井市美術館/Fukui
2002 TINY NIGHTS,Gallery KAZUKI/Fukuoka
2000 内景-Inner Spaces,Galerie CAZUQUI/Fukuoka
2000 プロキシマ-見えない婚礼,三菱地所ARTIUM/Fukuoka

グループ展
[水晶の塔を探して-現代アートが開く「私」の世界] 福岡市美術館/Fukuoka
[時の万華鏡] 福井市美術館/Fukui

■ レビュー
2000年秋、福岡市で全国でも初めてであろう試みがなされました。福岡市美術館・三菱アルティアム・ギャラリーおいしと画廊香月が同時期に、小林健二という、ただひとりのアーティストを取り上げ、さまざまな角度から展覧会を開催しました。(福岡市美術館はグループ展として)
美術館や画廊という美術に関わっている者たちが、小林健二というアーティストをどのようにとらえ、感じているのか。また、結果としてそこに関わる人たちがいかに小林健二に惚れ込み、愛していたのかというメッセージを投げかけることでもありました。
それぞれの想いの強さが、これまでほとんど交流のなかった業態間の障壁を取り払い、それぞれの場で働く者通しの間に新たな絆を誕生させることができたのです。人と人とのかかわりが、ますます希薄になっていく人間社会の中で、画廊のやるべき役割や、アートが果たす力について考えさせられます。 そんな今世紀の始めに実現された、こうした試みこそ、求めるアートのあるべき姿のひとつだと感じました。
小林健二という作家に対峙したとき、多くの人は自分の中に埋没する生きる潔さに直面させられるはずです。忘れ去られていた生身の人間同士のぶつかり合いを再認識するでしょう。
小林健二、その作品から生まれ出る緊張感は、中途半端な妥協さえ封じ込めてしまいます。だからこそ、見えてくる愛情に触れることに気付かされます。
作品から発せられるメッセージを追い求め、多くの人が各会場に押し掛けました。学校の掲示板で見かけたポスターを見て、生まれて始めて飛行機でやって来た東京の予備校生。後日画廊から届けられた人工結晶は彼女の一生の友となりました。夜行バスで訪れ、夜行バスで帰っていった大阪の美大生。福岡市美術館に手紙を送ったと、熱く語る女性とも話すことがありました。今でも、当時の気持ちをもう一度感じたいと、数多くの方々が画廊にやって来ます。

今回はさまざまな角度から小林健二ワールドに接するよう、小品の新作から作家自身が所蔵されていた旧作までをも含めた個展を企画しています。生み出された詩的な美しい作品が織り成す小宇宙が画廊に創造されるでしょう。
真摯に生きる人ほど、心のそこから本当の感動を求めています。何かを求めようと必死に打ち込んでいる若者ほど 、もがき苦しんでいます。今まで社会や大人たちは、そうした若者たちに何かを授けることが出来たのでしょうか。
2000年、4会場で行われた小林健二のトークには、全身全霊をぶつけて話す小林健二の姿がありました。現代社会が見失い始めた心と心の掛け橋を体感した若者たちは、今回自分たちの手で企画し、講演会を開催します。また、小林健二の世界に魅了された個人やグループが個々にトークなどの企画も計画しています。
2年前の秋、小林健二の作品を前にして真剣にを食い入るように見つめる人々の姿が忘れられません。2000年、福岡に生まれた芸術の震源を決して絶やしてはならないと思います。1人でも多くの方々に、小林健二のメッセージが伝わることを願っています。

■ 関連企画
○ レセプション「小林健二を囲んで」
11月24日(日) 16:00~
○ 小林健二トーク
「創造すること -その姿勢と背景-」
【会場】福岡市美術館・教養講座室
【開催日】11月23日(土・祝)14:00~
【定員】70名(要予約)入場無料
【主催】けやき通り学生会
○ Making of silver lotion
【会場】宇宙堂ROOM
【開催日】11月25日(月)19:00~
【定員】20名(要予約)
【参加費】¥1,800
【主催】宇宙堂Space