横田海 展

kai Yokota Exhibition

2006年2月25日(土) - 3月19日(日)

■ DMテキスト
無駄なく構成された画面と、そこに刻まれる潔い線、力強さと繊細さを合わせ持つ、心地よい緊張感。
「いい絵を描きたい。」頑なまでに挑み続ける絵描き、横田海の美技が冴える。

■ 横田海プロフィール
1934年東京生まれ。
九州天草で育つ。
1968 21歳で上京、新宿美術研究所にて麻生三郎、山口長男の指導を受ける。
1977 フオルム洋画研究所入所
現代画廊の洲之内徹に見い出され、全国の画廊にて展覧会を開催する。

横田海と接していると、それだけで自分の内側からエネルギーがむくむくと盛り上がってくるのが分かる。
横田海は勢いがいい。きっぷがいい。その生き様が絵にストレートにぶつけられる。
それは横田海が人生を芸術に捧げ、美を極め、紡いでいくことに賭けていることが伝わってくるであろう。日々、創造し新しいものに向かっていく姿勢がみなぎっている。
あの現代画廊・洲之内徹氏に見い出された。
求める精神性を長谷川利行にダブらせた時期、洲之内徹氏に指摘され、さらには、そのまま突き進むよう励まされたと言う。
90年代に入り、40代になった横田海の画風は大きな変化を遂げた。
風景などを中心に描かれていた具象から抽象へと変わっていった。
もちろん具象に行き詰まったからではなく、精神的無頼派である自由奔放さからの必然的な道程であった。
具象からたたきあげられた抽象は、絵に奥行きが広がり深みが増している。しかも、それでいてさわやかに織
りなされた色彩がさわやかささえ漂わせている。
「本来、完全なる抽象なんてないんです。そんなものは猫にでも描かせておけばいいんです。
僕のは具体的な抽象、感情を持った人間自身から生まれる具体的な経験された抽象なんだ」
と横田海は語る。

■ トーク「横田海の無頼派絵画考」
聞き手 中村共子(フリーランサー)
2月26日(日)16:00~ 参加費¥500(1drink)

■ レビュー
横綺麗な色彩、無駄なく構成されたキャンバス、そこに刻まれる潔い線。裏づけされた巧みな技術は、見るものをハッとさせる。
妥協のない人生を送ることが、ひいては良い絵を描くことにつながると、頑なまでに挑み続ける絵描き横田海の美技が在る。
絵画、芸術の世界を信念を曲げずに生き抜いてきて、この歴史をみてきた作家は、稀でしょう。
潔い線、美しい色彩、勢いと繊細さとが同居する画面は、心地よい緊張感をもっていてかっこいいです。

現在72歳の横田海、絵にそそぐ情熱と愛情は並大抵のものではない。
ごまかしのきかない油絵の具で描くことにこだわり、良い絵を描くために日々精進しつづけている。
精進という言葉がぴったりのうような気がする。
「絵を描くことは、祈りのようなもの」という言葉に重みを感じる。
画面は、綺麗な色彩と構成されていてスッキリとしていて無駄が無い。
そしてそこに潔い線が刻まれている。
若々しく、緊張感のある作品であるとともに、そこに裏づけされた巧みな技術は、見るものをハッとさせるであろう。

伝説の画廊「現代画廊」の主人であり「きまぐれ美術館」などの著書でも有名な、かの洲之内徹氏が、亡くなるまで横田海を寵愛した。
妥協のない人生を送ることがひいては良い絵を描くことにつながると、頑なまでに挑み続ける絵描きは、これからの芸術の世界になげかけるものは大きいと感じる。
    
■ Opening
2月25日(土)pm5:00~ 「横田海を囲んで」