山中 現 展 – モノクロームの記憶 –

Gen Yamanaka exhibition

2003年6月21日(月) - 7月13日(日)

■ テキスト
真っ黒に塗られた版木の彫刻刀で一本の線を入れると、それは闇の中の一条の光のようにみえる。光をいれることで始まるこの方法には、木版画の持つ大切な要素が隠されているように思われる。消すことが表現することにつながるというこの不思議な方法は、同時に始原的なものへの興味も孕んでいる。僕が光と影に興味をもつのも出発点が木版画だったからだ。現在、「光と影」への興味は、「色とかたち」へと変化しているのだが、木口木版を試みることで、再び光と影のイメージを強く体感することになった。それは、版画の持つ表現の領域を確認することでもあり、自分が向かうべき場所を予感することでもあった。
<山中 現「星の記憶Ⅰ・Ⅱ」に寄せてより>

■ 山中 現プロフィール
1954 福島県喜多方市生まれ
1978 東京芸術大学美術学部油画科卒業
1980 東京芸術大学大学院 美術研究科版画専攻 修了
1981 東京芸術大学版画研究室助手となる( – ’84)
1980 日本国際美術展(東京都美術館、京都市美術館)
1983 版画「期待の新人作家」大賞展(りゅう画廊・池袋)(’84年も。この回では会長賞受賞)
1984 西武美術館版画大賞展(西武百貨店池袋店)・日版商買上賞受賞、クシロン国際木版画トリエンナーレ(スイス他を巡回、 – ’86)
1985 和歌山版画ビエンナーレ(和歌山県立近代美術館、ウォーカーヒル・アート・センター・ソウル)
1986 ブラッドフォード国際版画ビエンナーレ(イギリス)推選出品
1987 現代の版画1987[1](渋谷区立松濤美術館)、現代東北美術の状況展・II[2](福島県立美術館)
1989 アジア美術展・版画ワークショップ(福岡市美術館)
1991 リュブリアナ国際版画ビエンナーレ(ユーゴスラビア)招待出品
1992 「木版画ー明治末から現代ー」(練馬区立美術館)
1994 国際コンテンポラリーアートフェア(パシフィコ横浜)
1995 「現代の木版画」(石巻文化センター)
1996 「福島の新世代’96」福島県立美術館)
1998 “Space” 現代日本版画展(ティコティン日本美術館、イスラエル)
1999 ぶどうの国国際版画ビエンナーレ(山梨県立美術館)
2001 現代日本版画展(スコットランド エジンバラ)山中現 木版画展(喜多方市美術館)
2004 日本の木版画100展(名古屋市美術館)
2007 天体と宇宙の美学 (滋賀県立近代美術館)
2010 山中現 -夢の領域-(福島県立美術館、個展)
2011 「招き猫亭コレクション 猫まみれ~ようこそ猫の迷宮へ~」(山形美術館、笠間日動美術館)
2015 「館蔵展」(喜多方市美術館)

■ 収蔵
東京芸術大学大学美術館
福島県立美術館
喜多方市美術館
大英博物館
ドレスデン版画素描館
クリーブランド美術館

シティ情報ふくおか