九州派展 博多阪急

2021年9月15日(水) - 28日(火)

日時:2021年9月15日(水)~9月28日(火)10:00~20:00(最終日は 18:00 まで)
会場:博多阪急 5 階 ステージ 5
入場料:無料

異彩を放つ九州派〜それから〜2021
アートフェアアジア実行委員⻑・Gallery MORYTA 森田俊一郎

「戦後の福岡で産声を上げた、奇跡の前衛美術集団」
2015年に福岡市美術館が発行した『九州派大全』では、「九州派」をこのような表現で紹介していますが、福岡市⺠の中でこの史実を知っている方は、いったいどのくらいいらっしゃるでしょうか?
2015年、福岡初のアートフェア「ART FAIR ASIA FUKUOKA」を立ち上げた後、私はすぐに諸外国のアートの現場を視察して回りました。そこで、アートを心底楽しむ人々と出会い、たくさんの知己を得ることができました。しかし、その一方で、ある違和感を覚えました。これまで私たち日本人が接してきた閉鎖的ないしは限定的なアートの現場とは異なる、いわば世界基準のアートワールドの存在に気づかされたのです。
そこで、これまでのような日本だけでしか通用しないアートではなく、世界の価値観に通じるアートとは何だろうか、とあらためて考え、至った結論が「九州派」でした。
「九州派」と同時代に生まれた「具体美術」や「ネオ・ダダ」「もの派」が、世界に知れ渡っているのですから、「九州派」が世界を席巻することだって夢ではありません。1950年代から60年代にかけて、反芸術が謳われ、アンフォルメルの風が吹くなか、「九州派が日本の現代アートの先頭を走っている」と言った有識者もいたそうです。そうした意味では、日本における現代美術に「九州派」が与えた影響は大きく、「九州派」を知らしめ、発信することは、福岡の現代アートが世界中から注目される契機となるはずだ、と私は確信しています。
アートを感じることは今の世界を知ることでもあります。自分にとって大切なものを発見し、掴みとることであり、真の豊かさを知るきっかけとなります。
日本では今でも、100年以上も前にフランスで生まれた「印象派」を見に、多くの人々が美術館に列を作っています。そうした確認作業にも似た美術との関わりを繰り返すのは、もうやめにしてはどうかと思うのです。
かつて「九州派」のリーダーであった桜井孝身が世界を目指したように、今という時代において、「九州派」を介して私たちの地域文化を世界に発信することは一つのロマンです。自分たちが持つアイデンティティを世界に紹介し、広めることこそ意義のあることです。そして、やりがいのあることではないでしょうか?
経済的利益をただ追求するのではなく、メディアが生み出す流行に踊らされるのでもなく、文化そのものが持つ感情を信じることが大事なのだと思います。才能がありながらも、多くの人々に知られていない偉大な天才たちの偉業を人々に知らしめていくべきことこそ尊いのです。そうした思いを抱く「九州派」の熱烈な支持者たちは、昨年博多阪急にて開催された「九州派展」を契機に増え続けています。そして、この「情熱」は国境を越え、その精神は誰も止めることはできません。