桜井孝身がつくった「九州派」、その系譜を受け継ぐ者たち

Kyushu-Ha and those who carry on its lineage

2022年6月11日(土) - 7月3日(日)

2022年6月11日(土)-7月3日(日)
参加作家 : 桜井孝身 石橋泰幸 磨墨静量 山内重太郎 尾花成春 櫻井共和 鳥越一輝 平松宇造

「九州派は、芸術が哲学となったことをいち早く発見していたにも関わらず、自らが為している意義を理解していたとは言い難く、それを十分追及することはなかった。」
九州派の実質的にリーダーであった桜井孝身の子息桜井共和はそう語ります。

「九州派」の実質的な活動は1957年から1968年までとされています。
しかし、解散以後に、それぞれのメンバーはそれぞれの道を強く、そして深く歩んでいます。

たとえば石橋泰幸、1980年代に韓国のアーティストたちとの交流を深め、相互の国で「日韓現代美術展」を開催しています。
そして、各メンバーはそれぞれに地域の次の時代を担うアーティストたちに少なからず影響を与え続けてきました。

リーダーであった桜井孝身と言えば、当時から世界を見据えていました。
そして驚くことに、その後アメリカに渡り、そしてフランスへと、約40年近くもの間に渡り海外で活動したのです。

「九州派ほど、深い地層から熱いマグマが噴出するようなエネルギーを感じさせるグループはなかった。」<九州派顛末記/針生一郎>と、
当時から言われ続けた「九州派」はその特異性から奇抜な表現やパフォーマンスが取り上げられがちですが、
また一方でこれほどまでに創造・表現することに真摯に、そして真面目に打ち込んだ者たちの集団だったといも言えます。
アスファルトやエナメル、さらにタイヤなどのさまざまな素材に命を吹き込み、思想に置き換えていったとも言えるのです。

私たちはこの奇跡の前衛集団にスポットを当てるばかりでなく、その影響が今という時代にまで続くその軌跡を受け取らなければなりません。
わたしたちの「九州派」『戦後の福岡で産声を上げた、奇跡の前衛美術集団』(九州派大全)の探訪はまだ始まったばかりです。