Gallery MORYTA

池田龍雄

Tatsuo Ikeda


1928年に佐賀県伊万里市に生まれた池田龍雄は、特攻隊員として訓練中に敗戦を迎える。 占領期に故郷の師範学校に編入しますが、軍国主義者の烙印をおされ追放にあう。戦中か ら戦後にかけた大きな価値の転回と、国家権力に振り回され続けたこの体験が、池田の創 作の原点を形づくった。 1948年、画家を目指して上京した池田は、岡本太郎や花田清輝らによる〈アヴァンギャル ド芸術研究会〉に飛び込む。以後、文学、演劇、映像とジャンル横断的に繰り広げられる 戦後美術のなかで、多彩な芸術家や美術批評家と交わりながら、自らの制作活動を展開し ていく。 個人として厳しく社会と向き合いながら、一個の生命として宇宙の成り立ちを想像する。 90歳を目前に控えたいまもなお歩み続ける彼の画業は、時代と切り結び思考する苦闘の足 跡であり、戦後から現在にいたる日本の美術や社会のありようを映し出す。


  • 1928 佐賀県に生まれる
  • 1948 多摩造形芸術専門学校(現多摩美術大学)入学
  • 1954 養清堂画廊にて初個展
  • 以後国内外での個展・グループ展多数
  • 1982 「瀧口修造と戦後美術」富山県立近代美術館(富山)
  • 1985 「池田龍雄の世界展」池田20世紀美術館(静岡)
  • 1985 「再構成・日本の前衛1945-65」オックスフォード近代美術館(イギリス) 1986 「前衛美術の日本1910-1970」ポンピドーセンター(パリ)
  • 1988 「走図展」INAXギャラリー(東京)
  • 1992 「日本の現代美術1945-1985」東京都美術館(東京)
  • 1995 「戦後文化の軌跡1945-1995」目黒区美術館(東京)
  • 1997 「ねりまの美術 97 池田龍雄・中村宏」練馬区立美術館(東京)
  • 1998 「瀧口修造とその周辺」国立国際美術館(大阪)
  • 2000 「万歳七唱 岡本太郎の鬼子たち」川崎市岡本太郎美術館(神奈川)
  • 2001 第21回 オマージュ瀧口修造展 「漂着」佐谷画廊(東京)
  • 2005 「瀧口修造 夢の漂流物」世田谷美術館(東京)
  • 2009 大英博物館・日本館主催 浜田知明展において自選版画100点、彫刻16点を展示 2010 「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」山梨県立美術館
  • 2010 「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」川崎市岡本太郎美術館
  • 2010 「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」福岡県立美術館
  • 2011 「我が心のなかのメルヴェーユ」画廊香月
  • 2012 「漂着 e`pave absolue 2012」画廊香月
  • 2015 「我が心のメルヴェーユ 」Gallery MORYTA / 画廊香月

我が心のメルヴェーユ ー北の風・南の風ー
絵とは何か。なぜ絵を描くのか。 わたしは 遂に解のないこの問題を、ずっと胸の奥に抱え込んだまま今もなお執拗に絵を 描き続けている。まるで、絵を描き続けることそのことがその答えであるかのように。 今や 絵を描くこと,表現することは、わたしにとって殆ど「業」のようなものであろう か。しかしそれは決して辛い「苦行」ではない。楽しく面白い「苦労」である。 面白い苦労の果てに生み出されてきた作品を、わたしは恐る恐る-内心では自信たっぷりー 他者の眼に晒す。そこでようやく表現は完結し,そのとき作品は晴れて「Objet de Art」 (オダジュダール)となってこの世に生まれ出る。その媒体もしくは場所となるのが,美 術館であり街の画廊だ。とりわけ画廊は,作品をいわゆる「展示価値」として扱うだけで はなく。「貨幣価値」に替えて観客の手に渡してくれる重要な場所である。 しかし、もともと売るために作られたものではない作品,特に、難しい・分からない、な どと敬遠されがちな現代美術を,お金に換える仕事は容易いものではにだろう。しかし、 今から5年ほど前,福岡から東京へ進出してきた画廊香月は、その困難な仕事に敢然と挑 んでいる。何よりも,その意欲を支えているのはオーナー香月人美の芸術に対するひたむ きな愛と情熱だ。 このたびその画廊香月の企画により,福岡のギャラリーモリタで個展を開くことになった。 佐賀県伊万里の出であるわたしにとって福岡は身近な都会。そして四年前、県立美術館で 回顧展を開いたので懐かしい所である。 今回並べる作品は、新作旧作とり混ぜ殆ど紙に描いたドローイングで,実はその大部分は 昨年の暮れに北海道は帯広の神田日勝美術館で展示したものだ。北海道から九州へ一直線。 北の人たちの眼に触れたそれらわたしの分身たちが,南の人の眼にどう映る乃か,生みの 親としては大いなる楽しみである。 2015年1月12日 池田龍雄




場の位相シリーズ




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